マタイの福音書 14章

目次  第13章  第15章

14 1 そのころ、国主ヘロデは、イエスのうわさを聞いて、
14 2 侍従たちに言った。「あれはバプテスマのヨハネだ。ヨハネが死人の中からよみがえったのだ。だから、あんな力が彼のうちに働いているのだ。」
14 3 実は、このヘロデは、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤのことで、ヨハネを捕えて縛り、牢に入れたのであった。
14 4 それは、ヨハネが彼に、「あなたが彼女をめとるのは不法です。」と言い張ったからである。
14 5 ヘロデはヨハネを殺したかったが、群衆を恐れた。というのは、彼らはヨハネを預言者と認めていたからである。
14 6 たまたまヘロデの誕生祝いがあって、ヘロデヤの娘がみなの前で踊りを踊ってヘロデを喜ばせた。
14 7 それで、彼は、その娘に、願う物は何でも必ず上げると、誓って堅い約束をした。
14 8 ところが、娘は母親にそそのかされて、こう言った。「今ここに、バプテスマのヨハネの首を盆に載せて私に下さい。」
14 9 王は心を痛めたが、自分の誓いもあり、また列席の人々の手前もあって、与えるように命令した。
14 10 彼は人をやって、牢の中でヨハネの首をはねさせた。
14 11 そして、その首は盆に載せて運ばれ、少女に与えられたので、少女はそれを母親のところに持って行った。
14 12 それから、ヨハネの弟子たちがやって来て、死体を引き取って葬った。そして、イエスのところに行って報告した。
14 13 イエスはこのことを聞かれると、舟でそこを去り、自分だけで寂しい所に行かれた。すると、群衆がそれと聞いて、町々から、歩いてイエスのあとを追った。
14 14 イエスは舟から上がられると、多くの群衆を見られ、彼らを深くあわれんで、彼らの病気を直された。
14 15 夕方になったので、弟子たちはイエスのところに来て言った。「ここは寂しい所ですし、時刻ももう回っています。ですから群衆を解散させてください。そして村に行ってめいめいで食物を買うようにさせてください。」
14 16 しかし、イエスは言われた。「彼らが出かけて行く必要はありません。あなたがたで、あの人たちに何か食べる物を上げなさい。」
14 17 しかし、弟子たちはイエスに言った。「ここには、パンが五つと魚が二匹よりほかありません。」
14 18 すると、イエスは言われた。「それを、ここに持って来なさい。」
14 19 そしてイエスは、群衆に命じて草の上にすわらせ、五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて、それらを祝福し、パンを裂いてそれを弟子たちに与えられたので、弟子たちは群衆に配った。
14 20 人々はみな、食べて満腹した。そして、パン切れの余りを取り集めると、十二のかごにいっぱいあった。
14 21 食べた者は、女と子どもを除いて、男五千人ほどであった。
14 22 それからすぐ、イエスは弟子たちを強いて舟に乗り込ませて、自分より先に向こう岸へ行かせ、その間に群衆を帰してしまわれた。
14 23 群衆を帰したあとで、祈るために、ひとりで山に登られた。夕方になったが、まだそこに、ひとりでおられた。
14 24 しかし、舟は、陸からもう何キロメートルも離れていたが、風が向かい風なので、波に悩まされていた。
14 25 すると、夜中の三時ごろ、イエスは湖の上を歩いて、彼らのところに行かれた。
14 26 弟子たちは、イエスが湖の上を歩いておられるのを見て、「あれは幽霊だ。」と言って、おびえてしまい、恐ろしさのあまり、叫び声を上げた。
14 27 しかし、イエスはすぐに彼らに話しかけ、「しっかりしなさい。わたしだ。恐れることはない。」と言われた。
14 28 すると、ペテロが答えて言った。「主よ。もし、あなたでしたら、私に、水の上を歩いてここまで来い、とお命じになってください。」
14 29 イエスは「来なさい。」と言われた。そこで、ペテロは舟から出て、水の上を歩いてイエスのほうに行った。
14 30 ところが、風を見て、こわくなり、沈みかけたので叫び出し、「主よ。助けてください。」と言った。
14 31 そこで、イエスはすぐに手を伸ばして、彼をつかんで言われた。「信仰の薄い人だな。なぜ疑うのか。」
14 32 そして、ふたりが舟に乗り移ると、風がやんだ。
14 33 そこで、舟の中にいた者たちは、イエスを拝んで、「確かにあなたは神の子です。」と言った。
14 34 彼らは湖を渡ってゲネサレの地に着いた。
14 35 すると、その地の人々は、イエスと気がついて、付近の地域にくまなく知らせ、病人という病人をみな、みもとに連れて来た。
14 36 そして、せめて彼らに、着物のふさにでもさわらせてやってくださいと、イエスにお願いした。そして、さわった人々はみな、いやされた。

第15章